ホクレン【北海道米パエリア・中華おこわ】
開発ストーリー

2022年6月1日に発売した「ホクレン 北海道米パエリア・中華おこわ」は『お米と具材が全部入り』のミールキットです。食を取り巻く環境に対応するべく、「簡便・時短」を切り口に送り出された商品には、北海道の米生産者や開発に携わった関係者の思いが託されています。今回は、本商品の開発の裏側や商品に秘めた思いを追いました。

9年越しの思い

北海道米を全国の消費者のもとに届ける、販売の最前線にいた今野は、2013年、名古屋支店の担当課長として勤務していた。当時担当していたのは、3大消費地圏の一つである愛知県をはじめとした中京・北陸エリア。米を取り扱う企業との取引がメインだが、絶えず変化する消費動向を把握するため、日々マーケットリサーチを行っていた。中京エリアの量販店やスーパーへの店舗巡回を繰り返していく中で、イチビキ株式会社(以下、イチビキ蝓砲寮嵌咾篆罎込みご飯等の商品が、どの店に行っても売場スペースを占めていることが気になっていった。そしてある日、イチビキ蠅両ι覆鮗尊櫃帽愼し自宅で食べてみたところ、食味の良さに深い印象を覚えたと同時に、イチビキ蠅箸い弔共同で“北海道米”を使って商品を開発したい、という気持ちが沸いてきた。

ホクレン 米穀事業本部 パールライス販売課
入宇田(左)、今野(右)

月日が流れ、2019年、札幌に異動になり、9年越しの思いを“北海道米”で叶えたい、という思いが再燃。そして、現在の部署メンバーの一人である入宇田をキャップとして商品開発がスタートした。

北海道米を使用したオンリーワンのものを!

現在の日本は、人口減少に加えてお米を炊いて食べる消費者が減少しており、日本の「米文化」が危機に瀕しているだけでなく、米づくりの文化や美しい水田の風景が徐々に失われつつある。その一方で、新型コロナウイルスの世界的な流行により、外食などが自由にできなくなったことから、内食需要が高まりを見せていた。札幌勤務となった今野は、急激に変化した社会情勢や消費行動を的確に分析。その中で「お米+レトルト」を組み合わせたミールキット商品が北海道ではあまり普及していないことに着目。ここに商機を感じ、「簡便・時短」を切り口とした商品開発がいよいよ始まった。

まず初めに、北海道在住の女性754人に、普段味付けご飯を食べる機会やミールキット商品の購入状況などについてアンケートを実施した。その結果は、パエリアやおこわ等のメニューは、材料を揃えて自分で作ることにハードルを高く感じている方が多かった。そのため、ミールキット商品として販売した際、これらの商品を購入してみたい、という意向が多いということが分かった。実際購入してみたいメニューについての問いに対して、上位となったのが「パエリア」と「中華おこわ」だったことから、この2商品を開発することに決定した。日常的に商品を使ってもらうだけでなく、夏はキャンプ、冬はホームパーティーなど、イベントの時にも使ってもらえる商品として、さまざまな使用機会を想像しながら開発を進めていった。

最強タッグと組んでいざ、実現へ!

商品を開発するにあたり、創業250年の名古屋の老舗調味料メーカー「イチビキ株式会社」と、創業116年のお米をはじめとする卸企業の「大和産業株式会社」からの多大な協力があった。イチビキ蠅蓮調味料やミールキット商品を数多く扱っており、中京圏においては約6割と高い流通シェアを持っている半面、北海道での流通シェアが低いという課題を抱えていた。そこで、北海道に根ざし、北海道民の胃袋を支えているホクレンとイチビキ蠅タッグを組んだ。ここからイチビキ蠅肇曠レンによる新たな価値を作り出す挑戦が始まった。新型コロナウイルスにより双方の開発担当者の行き来が難しかった期間は、WEB中心での商品開発を強いられたが、“協調・共創“の意識を共有したことで円滑に開発が進んでいった。

パエリアを作るにあたり、北海道米の「ななつぼし」と「きらら397」の2品種を使用し、試作品の開発を行った。試作品の試食を重ねたところ、開発担当者の間では、硬めの食感がよく、大手牛丼メーカーでも採用された実績もある「きらら397」を推す声が大勢を占めた。また中華おこわについては、北海道産もち米の「はくちょうもち」がおこわに向いている品種ということもあり、当初から「はくちょうもち」を使用することを念頭に商品開発を進め、試作段階でも想像通りの食味に仕上がったことから「はくちょうもち」を採用することで決定した。こうして、意見交換や試食を繰り返し、一年ほどの期間を経てようやく商品の完成に至った。

本商品『最大の魅力』

今回開発した「パエリア・中華おこわ」の一番のアピールポイントは『簡便・時短』だ。レトルト食品とは違い、炊飯器で炊きたてを食べられることや、炊飯器を使用することで“手抜き感”が出ないこともポイントの一つとして挙げられる。また、浸漬時間なしで本格的なパエリアや中華おこわを楽しむことができるのも大きな魅力の一つである。

商品のクオリティー以外に、商品の顔ともいえるパッケージにもこだわった。まず、消費者の方に手に取ってもらえるもの、シンプルではあるが目を引くもの、そして質感の高いものになることを心掛けたという。いくつもの案を出し、消費者の方やホクレン職員の意見を参考にした。こうして商品価値に見合ったパッケージづくりも商品開発と同時並行で進め、完成に至った。

全ては「北海道の米生産者」のために

このインタビューの中で二人が口を揃えて語ったことは、北海道の「米生産者」の存在だ。北海道米は、「ゆめぴりか」「ふっくりんこ」「ななつぼし」をはじめ、さまざまな品種が栽培されている。そのため、“料理のメニューによって米の品種を選択する”ということを実現可能にした。この背景には、寒冷地なため、米づくりには不向きな北海道で作られた米が、「やっかいどう米」と揶揄された昭和の時代から、米の品種開発と栽培技術の向上に向けて研鑚を重ねて、そして現在、北海道を代表する品種まで登り詰めた「ゆめぴりか」を筆頭に、幅広い品種を生産者が栽培し続けているからこそ、今回の商品開発ができた、と二人は振り返る。

「安くて、おいしくない『北海道米』なんて言わせない」
「国際線のファーストクラスで提供される高級ブランド米として、普段づかいのお弁当のお米として、あらゆる場面で北海道米を食べてほしい」
そんな生産者の思いも背負って、2022年6月1日に本商品の発売に至った。

「北海道米」が秘めている可能性を信じて

今後の展開について、「まずは北海道内を中心に販売を進め、道民から十分な支持が得られた後、この2商品を通じて北海道米の魅力を全国に発信していきたい。北海道米の魅力をしっかり伝えていくことはもちろん、『ホクレンはこんな商品開発をしているんだ!』と注目を浴びるような展開を進めたい」と意気込む。

また、パエリアをつくる際に、本場では粘り気の少ないバレンシア米(=スペインのバレンシア地方発祥のお米)を使うことが多いが、「北海道米でもおいしいパエリアを作ることができる」ということを伝えることができれば、北海道米の新たな需要をつくることにつながる、と考えている。

北海道の米生産者の思いや、ホクレンパールライス部門の先輩方が残してくれたものをしっかり受け止め、チャレンジできる土俵がある限り、「北海道米の無限の可能性」を信じて挑戦し続けていく。この2商品は、北海道米に秘められた新たな可能性を呼び起こす。その可能性を信じ続け、北海道米に関わるすべての人々が、新たな挑戦に向かっていく。